新・PASONAの法則で信頼を獲得!BtoBサイトの課題解決ページの作り方

BtoBサイトに、課題解決ページ(ソリューションページ)を作っていますか?

BtoBマーケティングでは、導入事例が鉄板コンテンツと言われています。確かに、導入事例は多くのBtoBサイトで有益なコンテンツであり著者自身も効果を実感しています。一方で、課題解決ページはあまり見かけません。業務別・用途別・ケース別などの切り口で特定の課題解決にフォーカスした課題解決ページは「集客も、リード獲得も、ナーチャリングにも使える万能コンテンツ」に化けます。

著者
私の経験上、課題解決ページは導入事例ページよりもコンバージョン率が高くなります。

信じられないですよね。それ以前に、課題解決ページそのもののイメージが湧かない方が多いのかもしれません。

本稿では、BtoBサイトにおける課題解決ページの有用性をわかりやすく説明します。さらに、BtoB企業の事例や課題解決ページの作り方のポイントも解説します。

課題解決ページとは

「課題解決」とは

課題解決とは、「理想の状態」と「現在の状態」の差を埋めること。BtoBではこの差を埋めるために商品・サービスを導入します。そして、課題解決ページとはターゲットの課題を解決する方法を提案するページのことです。

課題解決ページのおもな構成

王道の構成は、「問題提起→解決方法の提案→自社の商品/サービスのメリット→資料請求や問い合わせなどの行動」です。課題を解決する方法を提案するためには、課題に共感する→解決方法に納得する→商品/サービスによるベネフィットを感じる→行動に移す流れを違和感なく自然につくることが大切。課題解決ページのポイントは、ターゲットを具体的に絞り込むこと。理由は「自分ゴト化」しないと刺さらないからです。

ページを作る前提として、以下の問いと価値の答えをまとめておきましょう。

・なぜ買うのか
・なぜあなたなのか
・なぜ今なのか
・Who(誰の)
・What(何を)
・How(どう解決するのか)

ページの切り口

見込み客の課題が異なれば、ページをわけること。わけた方がより自分ゴトとして捉えてもらえる可能性が高くなります。切り口の例は、「部署」「課題」「用途」「成果物」「テーマ」が王道。「部署×成果物」のようにかけ合わせになることもあります。

課題解決ページが万能コンテンツである、4つの理由

1. 導入事例ページより作りやすい

導入事例ページは取材許諾が必要なため、交渉がうまくいくとは限りません。しかし、課題解決ページは取材許諾が要らないため、やる気があればかんたんに作れます。

2. 資産になる

課題解決ページは商品やサービスの普遍的な価値を訴求する内容になることが多いのです。従って、一度作ってしまえば半永久的に使えるコンテンツになりやすく、投資対効果が高いと言えます。

3.「集客」と「リード獲得」の両軸で成果に繋がりやすい

課題解決ページはターゲットを絞り込んで訴求するため、共感を得られ自分ゴト化しやすくなります。また、専門的な内容になるため自然検索で上位表示される可能性が高くなるため、集客数を増やせます。

4.ナーチャリングのコンテンツとして使える

リード獲得後は商談化するまで関係を構築しながらタイミングを伺う必要があります。課題解決ページは、ターゲットが明確で尖っていることから、ピンポイントで刺さりやすくなります。

課題解決ページのコンバージョン率は約2.8倍!導入事例ページを上回る数値

私が管轄しているBtoBプロダクトでは、課題解決ページのコンバージョン率はサイト平均の約2.8倍の実績です。

※対象期間:12ヶ月、対象サイト:BtoB商品の製品ページ(EC機能はなし)

ちなみに、同じBtoBプロダクトの導入事例ページのコンバージョン率はサイト平均の約2.0倍なので、コンバージョンは課題解決ページの方が数値が出やすい傾向があります。(商品・サービスによって異なるので参考値として捉えてください)

課題解決ページの役割とは

課題解決ページの役割を把握するために、ユーザー導線と購買プロセスにおける立ち位置を整理しましょう。

ユーザー導線

「遠隔モニタリング」x「方法」などの曖昧なキーワードで自然検索から流入してきます。また、「会社名」x「一般名称」といった指名キーワードでTOPページに流入した後、課題解決ページを閲覧することもあります。

購買プロセスにおける立ち位置

課題解決ページを見るユーザーは、既に課題を認識しており、解決方法を探している状態です。導入事例ページは比較検討段階の終盤が多いのですが、課題解決ページは比較検討段階の序盤に多いのです。

課題解決ページを閲覧するユーザーの心理状態

課題解決ページに訪問するユーザーの特徴と導線は2つ。

  • 課題を解決したいと考えているユーザーが曖昧なキーワードで検索して辿り着いた
  • 「会社名」x「一般名称」といった指名キーワードでTOPページに流入した後、課題解決ページを閲覧した

これらのユーザーの心理状態は、「この商品・サービスを導入すれば課題が解決できるかな」「参考になる課題解決策がないかな」です。

以上を踏まえると、課題解決ページの役割は4つです。

1.「自分ゴト」と思われる課題解決の方法を見せる
2.課題解決ページを読んで、自社にも当てはまりそうと共感してもらう
3.読んだ後に、行動に移させる
4.自然検索で上位表示させて、検討する商品・サービスの候補に入る

課題解決ページの役割は、導入事例ページと似ています。用途が明確(ターゲットとなる業種業務部門がわかれていない)な場合は、導入事例ページが課題解決ページを包括する場合もあります。

異なる点は、自然検索で上位表示を狙うページになり得ること。具体的なターゲットに向けての訴求ページになるため、検索しているユーザーが欲しがる情報を網羅するコンテンツになりやすくなります。結果的に、自然検索で上位表示されやすくなり集客ページとしても活用できるようになります。

新・PASONAの法則で信頼を獲得!課題解決ページの作り方

コピーライティングのフレームワークで有名なのは「PREP法」「AIDMAの法則」「PASONAの法則」「QUESTの法則」などがあります。

中でもBtoBマーケティングで使いやすいフレームワークはとして著者のおすすめは「新・PASONAの法則」。

おすすめする理由は、問題提起から入って行動を起こさせるまでの流れがBtoBの営業活動そのものだからです。

「新・PASONAの法則」をざっくり解説

PASONA(パソナの法則)の法則とは、日本一のマーケターと言われる神田昌典氏によって1999年に開発された、商品・サービスを売るためのセールスレターの文章モデル。売れるセールスレターには共通するパターンがあり、そのパターンを5つの要素に分解してフレームワーク化されています。5つの言葉の頭文字をとって、PASONAの法則と名付けられました。

PASONAの法則は、約100年の歴史があるアメリカのダイレクトマーケティング(通販マーケティング)の考え方がベースになっているため、効果的なセールスレターを書くことができる文章モデルとして、広告コピーはもちろん、ブログ記事やメルマガの文章にも、応用することができます。

PASONAの法則は、長い間5つの頭文字だけが一人歩きをしました。特に「Agitation:あぶりたて」の部分は、「恐怖や不安をあおり立てる」という認識として広まっています。神田氏は誤解を解くべく、2016年に「新・PASONAの法則」を著書『稼ぐ言葉の法則――「新・PASONAの法則」と売れる公式41』で新たに公開しました。

「新・PASONAの法則」の概要

P Problem(問題) 買い手が抱えている「課題」を明確化する
A Affinity(親近感) 売り手が、買い手の「課題」を理解し、解決する術を持っていることを感じてもらう
S Solution(解決策) 問題の根本原因を明らかにし、「解決」へのアプローチ方法を紹介する
O Offer(提案) 解決策を容易に取り入れられるように、具体的な商品・サービスの「提案」を行う
N Narrow down(絞り込み) 解決策が功を奏して、購入後、満足いただける買い手の条件を「絞り込む」=選ばれる理由(実証・信頼・安心)
A Action(行動) 「課題」を解決するために必要な具体的「行動」を呼びかける

「新・PASONAの法則」の活用例

具体的な例を1つあげます。

対象サービスは「勤怠管理システム」で、ターゲットは「人事部門」です。

Problem(課題)

  • テレワークや時差出勤の導入により従業員のシフト変更で、変則的な業務に負荷がかかっている
  • テレワークでも勤怠管理業務を滞りなく進めたい

Affinity(親近感)

  • 急にテレワークや時差出勤が始まり、対応に苦慮していますよね
  • 働き方改革関連法案の動きもあるので、今後もさまざまな想定外の事柄に対応していかないといけないのが目に見えていますよね

Solution(解決策)

  • 社外からでも勤怠管理業務を遂行できるシステムに
  • 法令改正や時差出勤などの突発的な動きにも迅速にアップデートしやすいクラウド型がおすすめ
  • さまざまな勤務形態に対応できるよう、幅広い打刻手段に対応できるように

Offer(提案)

クラウド型勤怠管理システム「○○」なら、

  • 働き方改革関連法案に対応し、時差出勤などのカスタマイズも設定可能
  • PCログインやICカード、指紋認証や顔認証などさまざまな打刻手段に対応
  • IPアドレスによるアクセス制限で、安心セキュリティ

Narrow down(絞り込み)

  • 導入社数、顧客満足度ともNo.1
  • 中小から大手企業まで、幅広い導入実績(導入事例の紹介)
  • かんたん3ステップで導入可能

Action(行動)

  • まずは資料請求
  • いますぐお見積り

勤怠管理システムを検討している方であれば、この流れで説明されるとなんとなく良さそうと思います。

少なくとも候補の1つにはなります。

著者
Narrow down(絞り込み)で訴求する内容は、実証・信頼・安心といったキーワードで構成することをおすすめします。具体的な訴求例は「【保存版】BtoBで「選ばれる理由」を構成する4つの要素とBtoBマーケティングでの訴求例」の記事で紹介しています。

私は勤怠管理システムとは何の縁もなく知識もありませんが、上述のようになんとなく書けてしまうのが「新・PASONAの法則」の優れているところです。

BtoBサイトの課題解決ページの事例

著者が気になっている会社の課題解決ページを紹介します。おもに気にした視点は、課題解決TOPページと詳細ページのワイヤーフレーム、検索フィルタ、CTAです。ここで取り上げたサイトは秀逸なため、ページ制作の参考になります。(順不同で紹介します)

kintone

kintoneの課題解決詳細ページ
  • 画像・図版が多く視覚的にわかりやすい
    全体的に画像や図版が多く、さっと読んでなんとなくいいなと思われる内容になっている
  • 切り口は「用途」or「部署」
    Solution(メリット)→Offer(メリット、機能)→Narrow down(導入事例)→Action(行動)の順に情報を並べている

RICOH

リコーの3Dプリンター課題解決TOPページ
  • 切り口は「製造業の製造工程」
    製造工程の課題に合わせて、解決策を掲示している
リコーの3Dプリンターの課題解決詳細ページ
  • 画像・図表が多く視覚的にわかりやすい
    全体的に画像や図表が多く、さっと読んでなんとなくいいなと思われる内容になっている
  • ターゲットが具体的
    製造工程の中でもどの部分の課題を解決できるのか明確になっている。Problem(課題)→Solution(解決策)→Offer(提案)→Narrow down(選ばれる理由)→Action(行動)の順に情報を並べている。中でもActionは次に何を確認すべきかステップを明示している点がわかりやすい

課題解決ページのワイヤーフレーム

WEBマーケティングの切り札といえる課題解決ページ。課題解決ページの役割や調査した会社のサイトを参考に、課題解決ページの「TOPページ」と「詳細ページ」のワイヤーフレームをまとめました。各項目には着眼点を記載しています。

TOPページ

メインビジュアル

  • 自社が信頼されるようなキャッチを入れる
  • 誰の何を解決するのか、具体的に明示する

検索

  • 切り口が多い場合は検索機能を実装する
  • 業種・業務、用途、成果物など、顧客が自分ゴトとして捉えられる軸に合わせて絞り込めるようにする

一覧

  • タイトルはターゲット(業務・用途などの切り口)がわかるようにする
  • 検索フィルタの軸で使用した切り口を提示する
  • ぱっと見でどれを選べばよいかわかりやすくなるよう、文字数は最小限に、簡潔にまとめる

課題解決の詳細ページ

メインビジュアル

  • 誰の何を解決するのか、具体的に明示する
  • 自社が信頼されるようなキャッチを入れる

本文(問題・解決策・提案・絞り込み)

  • 共感される課題を記載する
  • 新・PASONAの法則を意識した文章構成にする
  • 流し読みでもわかるように文章は簡潔にまとめ、適度に写真や図表を配置する
  • Narrow downでは、顧客に選ばれる理由(実証・信頼・安心)を伝える

アクション(行動)

  • CTAを設置する。ボタンは問い合わせよりも資料請求などのCTAの方が向いている

主要ページヘのリンク

  • 必要に応じて、プロダクトの主要メニューへの遷移ボタンを配置する

まとめ

BtoBサイトの切り札とも言える課題解決ページ。課題解決ページとはターゲットの課題を解決する方法を提案するコンテンツのこと。集客やリード獲得に加え、ナーチャリングのネタとしても使える万能コンテンツです。

ワイヤーフレームを活用していただけるとうれしいです。

成果に繋がる課題解決ページを作り込むときに参考になる書籍

稼ぐ言葉の法則――「新・PASONAの法則」と売れる公式41

PASONAの法則を生み出した神田昌典さんの著書。端的でわかりやすく読みやすいです。また、実際に試してみようと気軽に思える内容が多くマーケティングのヒントを得られます。

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