社内副業(複業)を実践してみたらメリットがよくわかった。

社内副業(複業)を実践してみた

働き方改革への注目が集まっています。この流れに乗り、2018年に入ってからは”社内副業制度”が話題になってきています。

・社内副業制度に関するニュース記事

丸紅「社内副業」義務付け 勤務時間の15%、新事業促す
 丸紅は4月から全従業員を対象に勤務時間のうち15%で通常業務から離れ、新しい事業の考案など「社内副業」に取り組むよう義務付ける仕組みを始める。事業会社への出資や不安定な資源分野への投資といった現在の
パナ、社外「留職」に複数業務も &働き方改革で新制度
パナソニックは29日、社員の働き方改革を推進するための取り組みを発表した。パナソニックに籍を置いたまま1年ほどベンチャー企業など他社で働く「社外留職」や、部門を&

また、Googleで検索される数を見ても、”副業”や “複業”といったキーワードは明らかに増加しています。

(下記の図はGoogleトレンドの調査結果)

・「副業」キーワードの検索ボリューム月別推移

副業-Google Trends-

・「複業」キーワードの検索ボリューム月別推移

複業-Google Trends-

私自身も、社内副業制度に関する考えを過去にまとめたことがあります。

社内副業制度ってあってもいいんじゃない?(働き方改革を考える)
政府主導で”働き方改革”が叫ばれ、実行に移されようとしている。 安倍首相は、第3次改造内閣を発足させた2017年8月3日の記者会見でも...

この記事、賛否両論ありました。

例えば、「社内副業」の定義はこれで良いのか?など。私は社内副業の定義を”報酬は問わない”としましたが、少なくとも成績や評価の一部として還元されるのが当然だろとの声などを頂戴しました。

このご指摘は、確かに一理あると考えています。

社内副業制度に関する考えを述べるからには、私自身が実践しなければ机上の空論でしかないという思いがずっとありました。

そこで、社内副業制度のメリット、制度自体がアリか否か、成り立つか否かを検証するために実際に試した結果をシェアします。

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【事例】「社内副業」を提案してみた。

私自身が所属する会社に、社内副業を提案し容認いただいた内容をせっかくなのでマーケティング視点で紹介します。(私自身がBtoBマーケターの端くれなので)

今回使用するフレームワークは、森岡毅氏の著書「マーケティングとは「組織革命」である」で紹介されている社内マーケティングのフレームワーク5ステップです。

それでは、社内副業の提案ストーリーをご紹介します。

組織文脈の理解

まずは、ゲームのルールを理解すること。審判は必ずしもフェアではない。会社が理解してくれないのは、自分の力が足りないからだとまずは認めること。文句を言うだけで思考や行動が停止してはいけない。変えられること、変えられないことの違いは「組織全体の目的や戦略に適うかどうか」が最初の分かれ道。
(森岡毅氏「マーケティングとは「組織革命」である」より要約)

今回の提案のゴールは社内副業の容認でした。この提案の最終目的は、会社として社内副業制度を創っていただくことです。しかしながら、こんなことを会社にストレートに提案すると、経営層・人事部門・労働組合など巻き込む部門が多すぎます。しかも、そもそも私が所属する組織の目的や戦略には合致していないため、私が提案しても受け入れられないことは明白なので手の届くゴールを設定しました。

目的(何を変えたいのか)

勝つ確率が高い戦いを設定する。意思決定者のメリットを探して選ぶということ。自分目線でお願いにいくのは”提案”ではなく”陳情”という。”陳情”とはこちらのメリットを相手にお願いすること。”提案”とは相手にメリットがある話を持っていくこと。
(森岡毅氏「マーケティングとは「組織革命」である」より要約)

繰り返しになりますが、今回の提案のゴールは社内副業の容認。具体的には、他セクションのマーケティング支援を行い、報酬は無償ではなく相応の対価をいただくことと設定しました。

報酬に対価を求めた理由は、無償にすると業務命令で他セクションの支援またはプロジェクトを兼務していることと変わらず、社内副業とは言いきれない点が気になったからです。

WHO

ターゲットは2つある。「組織目的に忠実なターゲット」と「自己保存に忠実なターゲット」である。自分の提案が決定されて実行されるまでの利害関係者の固有名詞をしっかりと考えながら仕分けしていくこと。誰が賛成で誰が反対か?本音か、裏では違う動きをしないか?ターゲットは優先順位をつけて絞り込む。1番は意思決定者は誰か。次に合意形成の重心になる人物は誰か。3番目に提案を潰せる人がいるとすると誰か。
(森岡毅氏「マーケティングとは「組織革命」である」より要約)

今回の提案のターゲットは、意思決定者であるGeneral Managerと、直属の上司であるManagerの2名でした。意思決定者の裁量で判断できる提案内容にしたかったからです。

WHAT

メリットもターゲットに合わせて明確にすること。「組織目的に忠実なターゲット」なら組織全体のメリット訴求を。このメリットが弱い場合は、3通りの可能性がある。
1.相手にとってメリットの魅力が足らない
2.実現可能性が低い
3.コスト(時間・費用など)が高い
相手を説得する法則は、「魅力は高く、実現性も高く、コストは低く。」当たり前だが、この理解が大事。人を動かしたいのであれば、自身の提案を相手にとってローリスク・ハイリターンに近づくようにポジショニングすべき。
(森岡毅氏「マーケティングとは「組織革命」である」より要約)

今回の提案では、上述したターゲットに合わせてメリットを用意しました。

・General Managaer(意思決定者)
1.自分が管轄するセクション全体の売上拡大に繋がる(魅力的)。
2.自セクション内で合意形成を取れば良いだけだから労力がかからない(実現性が高い)。
3.コストは○時間分の残業代だから同じ内容を外注するよりはるかに安価で済む(コストが低い)。

・Manager
1.本業は就業時間内で、副業は残業時間で行うため、本業には支障をきたさない(魅力的)。
2.副業で発生する残業代は他セクションが払うため、自セクションの利益には関係ない(コストが低い)。

※ 報酬の対価を残業代とした理由
会社の人事制度に踏み込む提案内容では、今回の意思決定者の裁量では決断できなくなるため、既にある残業制度の仕組みを活用しました。ちなみに、残業時間で副業を行うことにした理由は、就業時間内は本来の業務があり、Managerに迷惑をかけてしまう(Managerにメリットがなくなる)ためです。

HOW

勝てるか否かは、自分の言いたいことを相手が聴きたいように話せるかに懸かっている。人間は、好きか?嫌いか?で決めていることも往々にしてある。メリットを論理的に説明することも重要だが、それだけでは不十分なこともある。HOWの段階では情緒まで満足させることが非常に大切。ある優秀な営業マンは「営業にとって商談は”舞台”で、営業マンは狙うべき客によってキャラクターを演じ分ける”役者”のようなもの。要するに大事なのは客に好かれることです」と言っていた。
(森岡毅氏「マーケティングとは「組織革命」である」より要約)

意思決定者との信頼関係の構築は日頃から意識していました。例えば、自身のスキルを客観的に示す”上級ウェブ解析士”資格の取得。自セクション内でのデジタルマーケティングの成功事例を関係部門に共有。他セクションを巻き込み社内勉強会を主催するなど。まぁ一番重要なのはコミュニケーションですが。おかげさまで「デジタルマーケティングのことなら○○(筆者)」というイメージ植え付けに関してはたまたま成功していました(笑)
だから今回の提案はメリットが確実に伝われば、提案自体は承認いただけるだろうとは考えてました。

おまけ -あわや提案却下?!の後日談-

上述のストーリーでGeneral Managerへの提案は成功し、結果的に社内副業をやらせてもらえることになりました。しかしながら、この提案ストーリーで失敗したと感じる部分もありましたので失敗事例をおまけでご紹介します。

それは、提案書の表紙タイトルを「社内副業のご提案 -他セクションのWEBマーケティング(SEO対策)支援」としたこと。表紙ページを見せただけで、何を考えてるんだと言わんばかりに一方的なマシンガントークを3分間浴び続けました(笑)

耐え忍んだ3分後に「まず内容だけでも聞いてください」と再度切り出し、最終的には容認いただきましたが、正直却下されるかと思うくらい危なかったです(苦笑)

よくよく振り返ると、刺激的で自分目線のタイトルであったことが問題だと猛省。。タラレバですが、相手の立場にたったタイトルにしておけばスムーズに話が進んだであろうと思います。

※今回、提案した相手は上司であり人事部門ではありません。故に、所属する会社としての動きや制度とは全く関係ありません。

「社内副業」の実践。その成果は?!

今回実践した社内副業の業務は、ウェブ施策(SEO対策)。報酬はこのような働き方に関する人事制度がないため、対価を残業代に置き換えていただきました。また、就業時間中は本業があるため、社内副業を行う時間帯は就業後または就業前としました。

副業の業務は、約3ヶ月間、打ち合わせは4回。作業時間も入れると計20時間。3C分析およびターゲットキーワードや戦略ページのコンテンツマップ設計、既存ページのSEO視点での改善、業界専門サイトへの商品サービス掲載などを行いました。何よりも大切にしたことは、他セクションの実務担当者がSEO対策の考え方や多少のテクニックを習得できるよう、教えながら活動したこと。

成果に関しては、すぐに効果が出るものではないため検索順位などいくつかの数値の推移をウォッチしている状況ですが、他セクションの実務担当者のWEBマーケティング活用に関する意識が変わったことは目に見える大きな変化でした。

「社内副業制度」はアリなのか?

私自身が社内副業のトライアルを経験した結果、「社内副業制度」は改めてアリだと感じました。

以下に、自ら実践して改めて感じたメリットを具体的に説明します。

<個人のメリット>

1.個人のスキル(専門性)を磨くことができる

日本企業は良くも悪くもジョブローテーションが多く、1つの分野で専門性を極めることが難しい。社内副業は個人のスキルを活かせるため、専門性を活かし磨くことができる。

2.好きな仕事ができるため、モチベーションが上がる

好きな仕事ができるときのモチベーションとアウトプットの質の向上は自分でも驚いた。残業時間は増えるが、趣味に没頭して心が病む人はいないのと同じで、心身ともに今まで以上に健康になったと感じる。

上述の1,2と関連しますが、他部署でも専門性を活かして業務を行うと、必然的に経験値が高まります。また好きな仕事に取り組むことでモチベーションが上がり、自主的に自らの専門性を活かした社内勉強会(これは社内副業ではなく無償)を継続開催するなどの変化が起きました。

<会社としてのメリット>

1.組織に活力を与えることができる

会社の組織は、外部の知見による新たな発見や刺激が元になり、ステップアップする場合がある。社内副業で、社内の他部門から専門性の高い個人を組織内に加えることで組織の活性化につながるかもしれない。

2.適材適所の人事異動が可能になる

「副業」を通してその社員の関心事や適性を知ることができる。結果として、適材適所の人事異動がしやすくなるかもしれない。

今回は「社内副業制度」のメリットだけを記載しました。私はマーケターであり、人事のプロではないため実際に運用するとなると課題や弊害も出てくるかもしれません。こんな制度成り立つわけないだろって否定的な声もあるかもしれません。しかしながら、上手くルール作りをして活用すれば良い制度になると感じています。トライアルいう位置づけでも良いので何らかの形で試してみる企業が増えれば嬉しい限りです。

さいごに

今回の記事、本ブログのテーマである「BtoBのデジタルマーケティング戦略」とは全く関係ない内容ですが、この記事を書いたのには理由があります。

私が一方的に尊敬している、B2Bハッカー飯室淳史さんは仰っています。

「文化さえも変えるのがマーケティングの仕事」

また、著書を読んで刺激を受けた元USJの森岡毅さんは仰っています。

「マーケティングとは”組織革命”である」

御二方の考え方に刺激を受けて、少し違う形ではありますがBtoBマーケターである私が実践した内容を徒然なるままに記事として書き留めました。

私自身も含め、組織や制度に不満を言う方は多いですよね。でも、飲み屋で愚痴やあるべき論をいくら語っても何も変わらないんだよねってつくづく思っています。

だからさ、

まずは、自分ができる範囲で行動しよう。

行動したら、アカルイミライが開けてくる。

そんなことを思う、30代後半、真夏の夜、徒然なるままに。

※本記事は、個人の見解であり、所属する会社とは一切関係ありません。

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