with コロナの世界が突然訪れ、after コロナの世界へ向けて世の中が大きく変わろうとしています。
コロナによってBtoBのマーケティング営業活動はここ数ヶ月で激変しました。テレワーク、ウェブ会議、オンラインセミナーが当たり前になり、これまでの展示会への出展やオフラインセミナーの開催、訪問営業スタイルが通用しないのです。
「ウェブ会議やオンラインセミナーって意外といいな」と、いま置かれている環境に慣れてきた方も多いのではないでしょうか。
さらに、次世代通信規格の5Gも本格化することが追い風となり、この先、BtoBのマーケティング営業活動は、完全には元のスタイルには戻らないことは容易に想定できます。
新たな世界。
すべてのマーケティング営業活動がオンライン中心になる世界が、突然やってきたのです。
そこで、BtoBマーケティングのオンライン化戦略を進めるための手順をステップ形式でまとめました。
これは私自身がBtoB事業のPPM(プロダクトマーケティングマネージャー)として行ってきたマーケのデジタル活用の経験をベースに、コロナ以後を想定し体型立てたものです。コロナショックであたふたしているBtoB事業会社のマーケターや営業責任者の方の参考になれば嬉しいです!
かく言う私自身も事業会社に所属している一人のBtoBマーケターなので、この先どうなるかなんて正直わかりません。。が、手をこまねいていても周回遅れになることは火を見るより明らかです。だから「まずやってみよう」を心がけています。
本記事の最後で「BtoBマーケティング戦略のオンライン化を加速する5つのステップ」をダウンロードできます。お手元においてご活用ください。
with コロナ、after コロナで変わるBtoBマーケティング・営業活動
BtoBの商取引は長らく人と人がオフラインで蜜につながっての営業活動がスタンダードでした。しかし、今後はテレワーク、オンライン・デジタル前提の商取引が加速していくと考えられます。
テレワークが主流に
会社への電話は繋がらず、架電でアポイントが取りづらくなります。テレワーク中にオンラインセミナーに参加することが当たり前になり、名刺獲得数が大幅に減るなどの状況が想定されます。
購買プロセスがオンライン中心に
BtoBの購買行動は、オンラインで業者を探し、オンラインで営業を受け、オンラインで業者を選定するのが当たり前になります。
マーケティング・営業活動のオンライン化は、好き嫌い、やりたいやりたくないの域を超えて、もはや企業を存続させるための必須要件になりました。
生き残るためには、購買プロセスのオンライン化に舵を切ること
コロナ前には「集客」〜「見込み獲得」までのプロセスを中心に、オンライン(デジタル)を活用してマーケティングを展開する企業が増加。このときの基本的な戦略は「オフラインだけではなく、オンライン“も”活用する」「オンラインで獲得した見込み(リード)をいかにオフラインに誘導するか」。オンラインがオフラインを補完する役割を担っていました。
それがwith コロナ、外出自粛のいま、オフライン施策はほぼ使えない状態です。
After コロナの世界はオンライン中心になることが目に見えています。一方で、このような動きは都内だけではないかといった見方もあります。しかしながら、セミナーがオンライン化することで、地方の企業は気軽にセミナーを聴けます。もし商品サービスに興味を持てば、その後ウェブで商談ができる、デモや説明が受けられるので何の問題もありません。人は変化に慣れてしまう生き物なのです。
だからいまやるべきことは、購買プロセスのすべてをオンライン化するように舵を切ること。
「商談化」〜「受注」は仕組みやオペレーションの構築が必要なため、一長一短ではできません。だからこそ、すぐに取り掛からなければ世の中から取り残されてしまいます。
オンライン化加速の鍵は「コンテンツとチャネル」「セールスオペレーション」
オンライン中心になると、訪問営業が当たり前だった頃のように「ちょっと相談したいことがある」と気軽に営業に声をかけることがしにくくなります。そこにいないから。そうすると、ユーザーは必然的にオンラインで情報を探すことが増えます。
少し古いデータですが、BtoBビジネスでは「顧客の57%が営業と会う前に購買製品を決めている」という調査結果があります。
(出典:CEB, “The Challenger Sale,” 2011)
オンライン中心になると、この数値はさらに増えるでしょう。だからこそ、企業はオンライン化を急いで進めなければなりません。
マーケティング営業活動のオンライン化を加速する鍵は以下の観点です。
「集客」〜「見込み獲得」段階では、ホワイトペーパーや動画、課題解決に繋がる記事などの「導入検討ユーザーの役に立つコンテンツ」を量産すること。そして、制作したコンテンツをプレスリリースや外部メディア、SNSやFacebook広告といった「導入検討ユーザーとの接点となるチャネル」での露出を増やすこと。
「商談化」〜「受注」段階では、ウェブ商談やインサイドセールスなどの仕組み構築、注文はオンラインで受ける体制、契約書はハンコ文化を脱却し電子印鑑・電子契約の仕組みを導入するなど、「セールスオペレーション」を抜本的に変えること。
自社ウェブサイトはあらゆる施策の”ハブ”となる
オンライン化を進めるにあたり、購買プロセスのすべての段階で重要な役割を果たすものがあります。
それは「自社ウェブサイト」。
トライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査 2019」によると、製品サービスの情報源は企業のウェブサイトが64.8%と他の情報源を大きく上回っています。
図の引用:「BtoBサイト調査 2019」|株式会社トライベック・ブランド戦略研究所
認知のきっかけはプレスリリースや外部メディア、SNSやFacebook広告といった顧客接点となるチャネルが寄与しますが、商品サービスに興味が湧いたときにユーザーが参考にするのは企業のウェブサイトなのです。
BtoBマーケティングのオンライン・デジタル活用についてのよくある問い合わせ
Q. 何から手を付ければよいかわからない
ウェブサイト改善、SEO、メール、動画、CTA設計など、さまざまな施策があることはわかった。でも、どれが効果的か、どんな順番で展開すべきか見当がつかないという悩みをよく相談いただきます。
BtoBマーケティングのオンライン化、デジタルマーケティングと書くと特殊なスキルが必要と思われる方も多いのですが、決してそうではありません。確かにSEOやCPAなどの専門用語を学んだ方が理解は進みますが、マーケティングの原理原則は、オフラインと変わりません。
マーケティングの基本は、遊園地もBtoBサイトも同じです。
例えば、身近な「遊園地」で考えてみましょう。
あなたが遊園地の販促担当なら、「いかに遊園地に来ていただくか(集客)」、「園内で楽しんでいただくか(行動)」、「飲食、グッズなどを購入してもらい、リピーターになっていただく(ゴール)」に知恵を絞ると思います。
BtoBマーケティングのオンライン化の一丁目一番地である「BtoBサイト」も同様です。
「サイトに来ていただく(集客)」「コンテンツを見ていただく(行動)」「資料ダウンロードや見積もり依頼をしていただく(ゴール)」ことを意識すればよいのです。
遊園地 |
BtoBサイト |
|
マーケターのミッション | 売上を伸ばす | 事業を伸ばす |
売上ロジック | 売上=人数×客単価 | 売上=受注数(商談数×商談化率)×受注金額 |
集客 | 遊園地に来ていただく | サイトに来ていただく |
行動 | 園内で楽しんでいただく | コンテンツを見ていただく |
ゴール | 飲食、グッズなどを購入いただき、また来ていただく | 資料ダウンロードや見積もり依頼をしていただく |
Q. KPI設計は何がよいかわからない
売上、PV数、訪問数などさまざまな指標があるが、何をKPIとすれば良いかわからない。また、どれくらいの数値にすればよいか見当がつかない。
これもよく相談を受けます。
BtoBマーケティングのオンライン化は、3つの軸で考えると整理しやすくなります。
見込みを獲得するためには、顧客とのタッチポイントを抑えることが重要です。タッチポイントを制するものは、BtoBマーケティングを制すといっても過言ではありません。
この顧客とのタッチポイントを自社サイト視点でシンプルに考えると、「集客」「見込み獲得」「見込み育成」の3つの軸で適切な打ち手を用意する必要があります。
そして、3つの軸それぞれに必要なKPI設定の代表例を表したのが上記の概念図です。
KPI設計は本来、商品サービスの特性やターゲット、顧客の購買プロセスなどを考慮しながら設定することがあるべき姿です。しかし、マーケティングのオンライン化を始めて検討する方で何をKPIに設定すればわからない場合は、一旦はシンプルに決め打ちで上図のKPIにすることをおすすめします。
BtoBマーケティングのオンライン化を加速する5ステップ
BtoBマーケティングのオンライン化の進め方をレベル1〜5までのステップ形式でまとめたのが下図です。
※「BtoBマーケティング戦略のオンライン化を加速する5つのステップ」はWEBマーケティングやデジタルマーケティング施策をやったことがない、もしくはやりたくてもあまり時間をかけられなかった方を対象にしています。
それではLv.1から順に、目指す状態と施策を解説します。
Lv.1 基本を抑える
目指す状態:
- 現状を把握し、数字に意識を持っている
- STP,USPを確立し、ペルソナに落とし込めている
- ウェブマーケティングで使われる主要なワードを理解できている
施策 | 備考 |
理想を思い描く | デジタルを活用し、何がしたいのか
何を実現したいのか |
問い合わせフォームを設置する *1 | ユーザーに寄り添うため
効果を見える化するため |
KPIを設計する | 事業の成果に貢献するKPIとする
PDCAを回すためにも必要 |
ウェブマーケティングを本などで学ぶ | 必須:デジタルマーケティングの基礎 (Googleのオンライン学習サイト)
推奨:ウェブ解析士資格 |
ターゲットと価値を明確にする | 顧客ヒアリング、STP、USP、BASiCS、ペルソナ、カスタマージャーニーなど |
参考情報:
*1 B2Bサイトのフォームにおけるベストプラクティス研究|WACUL
Lv.2 マーケティングサイトを設計する
目指す状態:
- KPIを達成するための実行プランを回しはじめている
- 実績を毎月確認できている
施策 | 備考 |
サイト構造を整理する | 足りないコンテンツを確認する *1
分析しやすいよう整理する |
購買プロセスに沿ったCTAを設計する | CV設計は階段状にする |
CTAを設置する | 必要に応じてダウンロード資料などを制作する |
主要ページのワイヤーフレームを見直す | TOPページ、サービス紹介ページ、導入事例ページ、LP/課題解決ページは重要 |
参考情報:
*1 【事例付】BtoBサイトのコンテンツマーケティング手法31選
Lv.3 集客する
目指す状態:
- 集客数が伸びている
施策 | 備考 |
重点対策キーワードを選定する *1 | BtoBの集客には、キーワード選定が最も重要 |
キーワードを意識したページに改善する *6 | |
LP/課題解決ページを制作する *5 | |
リスティング広告を行う *2 | 顕在顧客にアプローチできるため |
Facebook広告・専門媒体での露出 *3 | |
プレスリリースの配信 *4 | ソートリーダーシップを取るため
集客はあらゆる手段を使う |
参考情報:
*1 BtoBサイトの集客力をアップする!重点対策キーワードの選定に役立つツール6選
*2 BtoBのリスティング広告の5つのメリットと1つの課題
*3 BtoB企業のWebマーケティング担当者なら押さえておきたい無料登録できる業界サイトまとめ
*4 【BtoB限定】プレスリリースを無料掲載!職種・業種別サイト11選+α
*5 PASONAの法則で信頼を獲得!BtoBサイトの課題解決ページの作り方
*6 BtoB向け!サーチコンソール(Google Search Console)の使い方とSEO対策での活用方法8選+α
Lv.4 見込みを獲得する
目指す状態:
- リード獲得数が伸びている
施策 | 備考 |
リード獲得の導線を強化する | オファーの文言、CTAの設置場所を改善する |
CVを再設計する | ハードルが高い問い合わせフォームや低い資料請求だけではなく、中間ハードルを設ける |
コンテンツを拡充する *1 | 購買プロセスに沿って足りないコンテンツを拡充する |
ホワイトペーパーを作成する | |
セミナー・展示会を開催する | コロナ以後はオンラインが主流に *3 |
導入事例を掲載する *2 | 導入事例はBtoBの鉄板コンテンツのため |
参考情報:
*1 BtoBのWEB戦略を加速する。商談を増やすコンテンツマーケティング虎の巻
*2 WEBマーケティングの鉄板コンテンツ!BtoBサイトの導入事例紹介ページの作り方
*3 ウェビナー(オンラインセミナー)成功ノウハウ|ツール選定から運営のコツ|才流
Lv.5 商談化を加速する
目指す状態:
- リード獲得数が伸びている
施策 | 備考 |
メールマーケティングを展開する *1 *3 | ステップメールやメルマガなど |
MAツール活用によるシナリオメールやメール通知を仕掛ける | |
オフラインへの誘導を強化する | セミナー、勉強会、ショールーム、相談会など |
インサイドセールスの仕組みを構築する | |
キラーコンテンツを開発する *2 | 導入効果シミュレーション、代替手段との比較など |
参考情報:
*1 鉄板シナリオができる!MAのシナリオを成功に導くキラーコンテンツの見つけ方|ワンマーケティング
*2 BtoBステップメールはストーリー戦略が命。顧客に響くシナリオ4選
まとめ。オンライン化を加速し、成果に結びつけるために
BtoBマーケティングのオンライン化を加速する5ステップを紹介しました。
- Lv.1 基本を抑える
- Lv.2 マーケティングサイトを設計する
- Lv.3 集客する
- Lv.4 見込みを獲得する
- Lv.5 商談化を加速する
Lv1の施策に書きましたが、BtoBマーケティングのオンライン化といっても、基本的にはマーケティングそのものをウェブに合わせているだけです。
そのためには「プロダクトのターゲットと価値を明確にする」ことが大前提。顧客ヒアリングをしたり、マーケティングフレームワーク(STP、USP、BASiCS、ペルソナ、カスタマージャーニーなど)を活用しターゲットと価値を明確にしなければ始まりません。私は上級ウェブ解析士の資格も持っていますが、ウェブ解析士のテキストでもマーケティングフレームワークにもかなり触れられているくらい重要なことです。
また、世の中が大きく変わろうとしているときは、強い意思と実行力が物を言います。
最後に、5つのステップを実際に進める上でのポイントを2点だけ紹介して終わります。
この5段階のステップの表記は、Lv(レベル)にしています。
ロールプレイングゲームでは、Lv1の勇者が飛び越えてLv4にはなれません。Lv4で戦う敵がいる地では、Lv1の状態では戦えません。コンサルティングの世界においても、プロジェクトのゴールは現状から1つ上を設定するのが定石です。大き過ぎる目標を掲げるとそのプロジェクトは破綻するリスクが高くなります。
大きな目標は掲げるべきですが、その目標に向けた鍵となる成果(ここではLv)を1つずつクリアしていくことが重要です。
以上、「BtoBマーケティング戦略のオンライン化を加速する5つのステップ」を紹介しました。
私は事業会社のBtoBマーケターです。今回、自分の約10年の経験をベースにコロナ時代を見据えて改めて体型立ててみたつもりですが、異なる意見やこれが抜けているなどのアドバイスがありましたら、ぜひTwitter(@putilapan)や本サイトの問い合わせフォームでご連絡いただけると嬉しいです!
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自社サイトをWEBマーケティングに活用するためのヒントをまとめています。
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<戦略編>
<サイト構築編>
- BtoBのWEB戦略を加速する。商談を増やすコンテンツマーケティング虎の巻
- 【事例付】BtoBサイトのコンテンツマーケティング手法31選
- BtoBサイト トップページの作り方
- BtoBサイト 展示会出展レポートページの作り方
- BtoBサイト 導入事例ページの作り方
- BtoBサイト 課題解決ページの作り方
<テクニック編>