大手や伝統的なBtoB事業会社で、デジタルマーケティングを推進するときによく聞かれる質問に回答します




大手や伝統的なBtoB事業会社でデジタルマーケティングをで推進するときによく聞かれることがあります。私自身も前職では社員5,000人の企業に勤めており、全社のデジタルマーケティング推進部門に所属していました。

このような経験があるため、初めてデジタルマーケティングに取り組む上でよく聞かれることをまとめました。

何かしら気づきがあればうれしいです。

  • 何から始めれば良いでしょうか?
  • KPIは何が良いのでしょうか?
  • デジタルマーケティングを学ぶのにどんな本がおすすめですか?
  • 経営層やマネージャーに理解ある人がいなく、 デジタルとは無縁の企業文化です。 このような状態でも進められますか?
  • 社内の理解が得られずできないのですが?
  • ウェブサイトの改修をしたいが、費用対効果の面から管理職の理解が得られません。
  • 上司を説得するために、費用対効果を示すネタがありません。
  • 大企業で部門がわかれているため、説得に苦労します。 何かコツはありますか?
  • 異動してきた方にデジタルマーケティングに興味を持ってもらいたいのですが。
  • マーケティングとは何ですか?

初めてデジタルマーケティングに取り組む方から聞かれる質問

Q.  何から始めれば良いでしょうか?

BtoBのデジタルマーケティングはある程度、 成功へのセオリーが決まっています。

著者
BtoBといっても幅があります。私はBtoBをスペシャリティ(専門)向け商材と、コモディティ(大衆)向け商材にわけて考えています。成功のセオリーが決まっているのはスペシャリティの方です。

成功のセオリー

1. ダウンロード資料を作り公開する

問い合わせフォームから購入前の相談をする人は、自分の中で課題の解決策が見えていて、この会社に相談したらほぼ間違いないと考えている人だけ。はっきり言ってごく僅かです。大半の人は情報収集や比較検討中に、ネットで検索して自社ウェブサイトにたまたま訪れている状況。

このようなユーザーには問い合わせフォームは心理的なハードルが 高すぎて避けられます。出会っていきなり結婚して欲しいと言ってるようなもの。。ナイですよね?

せっかく興味を持ってもらえかけている状態なので、まずはお茶から。ハードルが低いCTA(資料ダウンロードなど)を用意しましょう。

2. 集客する

WEBページをただ公開しても誰も見てくれません。集客方法を考える必要があります。それには、タッチポイントを制すこと。 BtoB商材の王道は検索する人の取り込みです。 なぜならBtoBでは検索から訪問してくれる人が圧倒的に多いから。

具体策には、リスティング広告やSEO対策があります。また、 商材によっては余裕があればYouTube、TwitterやFacebookなどのSNSの活用も視野に入れておくと良いでしょう。例えば、Twitterにはマーケターや経営者や人事といった職種の方が集まり活発に行動しています。商材のターゲットがそのような職種であれば、Twitterというタッチポイントは無視できません。

※集客の詳細は、BtoBマーケティング戦略のオンライン化を加速する5つのステップをご一読ください。

3. 獲得した見込みに対してアプローチする

1で用意したCTAで見込み客を獲得できれば、次はその見込み客に対してアポイントなど商談化につながるアプローチをしていきます。架電、メールなどさまざまな手段があります。ウェビナーや個別相談会に誘うのも良いかもしれません。大切なことはアプローチをする役割を担う担当者(または部門)を用意することです。

Q. KPIは何が良いのでしょうか?

KPIは事業戦略やステージにより変わるもの。だから必要に応じて見直すのが正しい姿です。
しかしながら、これからデジタルマーケティングを始める方からは「そうは言っても」とよく聞かれるので、始めてデジタルマーケティングを始めるのであれば、おすすめは訪問数リード獲得数です。

訪問数とリード獲得数をおすすめする理由

BtoBマーケティングのオンライン化、デジタルマーケティングと書くと特殊なスキルが必要と思われる方も多いのですが、決してそうではありません。確かにSEOやCPAなどの専門用語を学んだ方が理解は進みますが、マーケティングの原理原則は、オフラインと変わりません。

例えば、身近な「遊園地」で考えてみましょう。

あなたが遊園地の販促担当なら、「いかに遊園地に来ていただくか(集客)」、「園内で楽しんでいただくか(行動)」、「飲食、グッズなどを購入してもらい、リピーターになっていただく(ゴール)」に知恵を絞ると思います。

この考え方をBtoBのデジタルマーケティングに当てはめると、「いかに自社サイトに来ていただくか(集客)」「コンテンツを見ていただくか(行動)」「信頼されて資料ダウンロードや見積もり依頼をしていただくか(ゴール)」を意識すれことが基本です。

ゴール(見込み獲得)するためには、顧客とのタッチポイントを抑えることが重要です。タッチポイントを制するものは、BtoBマーケティングを制すといっても過言ではありません。

この顧客とのタッチポイントを自社サイト視点でシンプルに考えると、「集客」「見込み獲得」「見込み育成」の3つの軸で適切な打ち手を用意する必要があります。

そして、3つの軸それぞれに必要なKPI設定の代表例を表したのが上記の概念図です。

KPI設計は本来、商品サービスの特性やターゲット、顧客の購買プロセスなどを考慮しながら設定することがあるべき姿です。しかし、マーケティングのオンライン化を始めて検討する方で何をKPIに設定すればわからない場合は、一旦はシンプルに決め打ちで上図のKPIにすることをおすすめします。

Q. デジタルマーケティングを学ぶのにどんな本がおすすめですか?

スキルや役割によっても異なるので、一概には言えません。
まだ何も知らない状態でしたら、本ではありませんがGoogleが無料公開している「デジタルマーケティングの基礎」コースを受講するのが良いです。後は、何をしたいかによるので、【厳選】BtoBのWEBマーケティング初心者必読!おすすめ本11選ページを参考にしていただければと思います。

社内調整に悩む方から聞かれる質問

Q. 経営層やマネージャーに理解ある人がいなく、 デジタルとは無縁の企業文化です。 このような状態でも進められますか?

国内で、 BtoBのデジタルマーケティングが普及しだしてきたのは2015年頃からです。だから、 経営層やマネージャーが理解あることの方が少ないことは仕方ありません。また、新たな取り組みのため誰も正解はわかりません。 役職年齢を気にせず、取り組んだもの勝ちだと考えた方が気が楽です。

ではなぜ、 経営層やマネージャーが新たな取り組みに二の足を踏むのかを考えましょう。

  • 「費用対効果がわからない」
  • 「そもそも、 よくわからないから不安」

このような場合は、お金が掛からない、 もしくは経営層の承認が要らないところから小さく始めて成果を示す方法が早いです。そう、スモールスタートです。

私は、 2011年頃にデジタルを活用したマーケティングに可能性を見出しました。しかしながら、当時はそんなことを本気で考えている人は周囲には皆無。だから私はマネージャーへの説明が不要なSEO対策からこっそり始めました。また並行して、 インターネットが重要なチャネルの1つであることを定量的に示すために、 購入した方にアンケートを取り商品を知ったきっかけをまとめまし た。

少しずつ小さな成果を示して信頼を積み重ねてから、 費用がかかる大きな施策に手を広げていきました。

Q. 社内の理解が得られずできないのですが?

上述の質問と似ていますが、経営層やマネージャーではなく、同僚や他部門の理解が得られない場合もあるかと思います。または、理論的に説明することはできても投資対効果をうまく示せていない、または信頼されていないのだと推察します。

この場合は、自部門でできること、自分だけでできることをまずは進めること。自分の判断でできる「小さな成果」を積み上げることをおすすめします。現業を滞らせることなく、しばらくはプラスαでデジタル活用の小さな仕掛けからコツコツと積み上げていきましょう。小さな成果を残して、実績を上げる。実績があれば予算をかけられます。実績に勝る説得材料はありません。また、同僚や他部門の理解を得るために、小さな成果でも共有する、Give,Give,Giveの精神で信頼を勝ち取っていきましょう。

また、社内関係者のデジタルマーケティングに対する意識を上げるためには、外部の力を活用する方法もおすすめします。例えば、デジタルマーケティングに関する資格を取得したり、外部で登壇したりして、自分自身のプレゼンスを上げるのも1手です。資格を持っているくらい詳しい専門家だと思われれば、あいつに任せてみようという意識になります。他には、外部の会社に企業内セミナーを開いていただき、その場に社内の関係者に参加してもらい理解力を上げてもらう方法も有効です。

Q. ウェブサイトの改修をしたいが、費用対効果の面から管理職の理解が得られません。

理解が得られない理由を分解すると下記の2点のいずれかです。

  • 管理職がウェブサイト改修の重要性を理解していない
  • 自分が費用対効果を示せれていない

ウェブサイトを改修して、「サイト訪問者数が◯%増える」「リード獲得が◯%増える」「商談化数や受注率と、1受注あたりのLTV(生涯収益)を計算すれば想定売上貢献額が◯◯円になる」という絵がかければ費用対効果を示すことができます。SFAが導入されていない、または機能していなくて受注率がわからない場合は、少ない件数でも良いので最初は泥臭く追いかけて受注率を把握すること。数十件もみれば傾向は掴めます。

また、実際の売上額ではなく「想定売上貢献額」としている点もポイントです。ウェブの成果としてリード獲得や商談化までは比較的コントロールしやすいのですが、商談化した後の受注率は「自社の信用度」「顧客との関係性」や「商品・サービスの価値」といったウェブ施策以外の変数が大きく影響します。(もし自社が提供する価値が競合よりも圧倒的に劣っていたら残念ながら受注率は悪くなります。その場合は、プロダクトの魅力を上げることを優先する必要があります)

従って、論理が飛躍してしまう「実際の売上額」ではなく、「想定売上貢献額」であらわすことをおすすめします。

また、上司の理解を得るためには相談の仕方も重要です。

  • 上司に、現状の課題を共感いただく
    • 現状の課題を共有できれば、担当者も上司も何らかの解決策を見出す必要があります。
  • 上司にとってのメリットを匂わす
    • 上司が何にメリットを感じるのかはさまざまですが、新たな取組で成果がでれば、上司がその上の上司と話すときのネタになるかもしれません。

Q. 上司を説得するために、費用対効果を示すネタがありません。

この上司はデータで示さないと信用しない、動かない方だと推察します。

このような場合の攻略方法は2つ。1つ目は費用対効果を求められないレベルの予算で実行することです。例えば「新しいことはやってみないとわからない!トライアルの位置付で少額でやります」と相談してみてください。日頃の信頼関係があれば突破できるかもしれません。ただし、次へ繋げるためには成果を出す必要があります。

2つ目は、「自社の商品・サービスは、ネットで探すユーザーが多い」(だからデジタルマーケティングが大切)という事実を示すこと。具体的には、◯◯を知ったきっかけは何ですか?の質問の回答を集めましょう。

質問の回答を集める方法をいくつか紹介します。

導入ユーザーにアンケート(◯◯を知ったきっかけは何ですか)を取る

申し込み書や保証書、ネットでの登録、メールアンケートなど実現方法は問いません。私は過去に下記のデータを集め、上司に説明したことがあります。詳しくは、BtoBのデジタルマーケティングにどれくらい力を入れるべきか?その答えは、顧客アンケート結果で判断しようをお読みください。

商談時、お客さまに聞く

営業部門の協力が必要ですが、ヒアリングの必須項目にするのも1手です。営業部門の協力が得られなければ、自分が商談に絡んで自分の口から聞く方法もあります。数は集まらないかもしれませんが、私の経験上では3〜5件程度ヒアリングできれば、傾向は見えてきます。

著者
ユーザビリティ調査文脈の研究ですが、ヤコブ・ニールセンというアメリカのユーザビリティ研究の第一人者が発表している数式によると、3名の調査で問題点の約65%、5名の調査で80%以上を発見可能と言われています。

【失敗例】リスティング広告で100万円溶かした結末…

初めてリスティング広告を実施し、最初の1週間で100万円を溶かした方がいました。問題は金額ではなく、上司がリスティング広告の仕組みを理解していないことによる認識齟齬でした。しかしながら、上司からの「止めろ」の一言でそれ以降、リスティング広告ができなくなってしまったのです。

初めてマラソンをする人が、最初から3時間を切ってゴールすることはできません。

同様に、リスティング広告にしても、その他のウェブ施策にしても、データを分析していかに改善できるか。改善が成功と失敗の分かれ目になります。最初からうまくいく確固たる自信がなければ、スモールスタートを強くおすすめします。

大企業ならではの質問

Q. 大企業で部門がわかれているため、説得に苦労します。 何かコツはありますか?

よくわかります。あなたが本当にやりたいことであれば、 その使命感があれば他部門を巻き込むための動きをするべきです。

同志を見つける、社内調整をする、部門トップの理解を得る…

経営層からトップダウンで降りてくると動きやすいのですが、それを期待できないのであれば、理想の姿から逆算して一歩ずつ行動必要があります。

もしそこまでの気概がない、または時間を割けられない場合は、 自部門内でできるようにアレンジをして進めることをおすすめしま す。自部門内でできることを進めて成果を出しながら、 大きく変えられるタイミングに備えましょう。

今で言うと、 コロナを機に変革を進める企業が多いと思います。 このような変革のタイミングで一気に仕掛けられる準備を日頃からしておくことが大切です。

※参考:「営業が売ってくれない!」社員5,000人企業のマーケターが実践した社内マーケティングのすべて

Q. 異動してきた方にデジタルマーケティングに興味を持ってもらいたいのですが。

デジタルマーケティングに興味がない人を振り向かせることって大変ですよね。大企業ではジョブローテーションは少なくありません。中には、デジタルマーケティングに興味がない方が異動で来てしまい、モチベーションスイッチを点火させることから始めなければならないこともありますよね。

興味を持ってもらうポイントは、相手の興味に合わせて伝えれば、相手の考え方と行動が変わるということ言葉では伝わりにくいので実際の出来事を紹介しながら、興味がない人を振り向かせるには何が大切か考えてみましょう。

※関連記事:WEBマーケティングに興味が無いカノジョを本気で口説いて虜にした話

その他

Q. マーケティングとは何ですか?

‪私自身も「マーケティングとは?」‬をよく自問自答してます。以前の私は「顧客に選ばれ続ける理由を作りと、選ばれ続けるよう仕組み化すること」と思っていました。だから、選ばれ続けるために「適切な顧客に、適切なタイミングで、的確なコンテンツを届けること」を形にしたい。

そのためには人への理解が必要なことに気づきました。

従って、いまいまはマーケティングとは「人への理解」だと考えています。しかしながら、言うは易し、行うは難し…ちょっと抽象的すぎるので具体的に話すと「適切な顧客に、適切なタイミングで、的確なコンテンツを届けること」を実現するためには、下記の3点を意識しながらデジタルを活用して実現していけば良いと考えています。

  • 適切な顧客→ タッチポイントを制す
  • 適切なタイミング→脳内シェアを制す(ブランディング、 第一想起)、動きを察知する
  • 的確なコンテンツ→信頼感を醸成するコンテンツ

以上、「大手や伝統的なBtoB事業会社で、デジタルマーケティングを推進するときによく聞かれる質問に回答します」について紹介いたしました。初めてデジタルマーケティングを推進する方のヒントになればうれしいです。

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