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BtoBでストーリーテリングを試したら、良質なリードに出会えた話

桂川(@putilapan)です。前職は5,000人の大手企業で事業マーケと全社マーケに従事し、現在は才流でコンサルタントとして活動しています。

今回は、BtoBにおけるストーリーテリングの話です。

市場や顧客、自社の営業に対して、ソートリーダーシップを発揮するためには、ストーリーテリングを戦略的に取り入れることが有効です。

アメリカのスーパーボウルのCMを見ると、さまざまな業種で「ストーリー」を語るものが増えています。直訳は「物語を語ること」ですが、ビジネスにおいては、実話、エピソード、逸話などすべてを意味しています。

アメリカの経営大学院でも授業でストーリーを取り上げる機会が増えているくらい注目を浴びています。

本記事では、BtoBプロダクトにおける「ストーリーテリング」の実験結果と考察を紹介します。

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身近なストーリーテリングは、プロダクトの開発ストーリー

BtoBでもブランディングは重要です。その企業がその商品サービスが、なんとなく好き・信頼できるという感覚は比較検討時はもちろん、導入後のLTVにも関わるから。また、同時に新たな顧客の獲得にも繋がります。

なんとなく好き・信頼できるという感覚を強化する方法で有効な施策のひとつが「商品の開発ストーリー」。

なぜなら、商品の背景にあるストーリーやドラマといった「コト」の部分に、人は愛着を感じるから。

ドラマ「下町ロケット」がビジネスパーソンの心を掴む理由は、必死で難曲を乗り越える佃製作所の従業員の姿勢に感動するからなのです。

例えば、友人からもらったプレゼント。

最もうれしいと感じるのは、そのプレゼントを選んだ背景を聞いたとき。どうしてそのプレゼントを選んだのか、その背景を聞くと自分のために時間を費やしてくれたことや自分のことを考えてくれたことに共感や感動を覚えます。

例えば、パソコンのVAIO。

ウェブサイトに「開発ストーリー」を掲載しています。開発ストーリーでは開発者の想いや並々ならぬ苦労が語られるため、それを知った人は、VAIOが単なるノートパソコンではない特別なものに見えてきます。これがなんとなく好き・信頼できるという感覚に繋がります。

そして個人的に最も好きなストーリーは「エルメスの社史ストーリー」。

私自身は、エルメスの良さをよく知りませんでしたが、「エルメスの道」という本を読んで一気に虜になりました。BtoBマーケターや経営に携わる方は一度は読むことをおすすめします。

生まれてくる商品には必ずストーリーがあります。ただ、このストーリーは誰かが言わなければ気付く術はありません。だからこそ、ストーリーはWebコンテンツとして全面的に打ち出すべき。

重要なことはモノの背景にいる「人」、人による「血が通ったストーリー」を伝えてなんとなく好き・信頼できるというイメージを植え付けることなのです。

BtoBのストーリーテリング、「開発ストーリー」ページを公開したら、ナーチャリングに寄与した

以前、国内初の商品を企画し発売しました。この商品を企画し苦労に苦労を重ねて世の中に出したという自分自身の強い想いもあり、開発ストーリーのWebコンテンツを実験的に公開しました。

商品ページの構成

下記4つのページにわけて、それぞれのページに同じCTAを設けました。

概要ページ
特長ページ
使用方法ページ
開発ストーリーページ

コンバージョン設定

階段設計に沿って、フェーズ別にコンバージョンポイントを設けました。

情報収集フェーズ・・・資料請求
比較検討フェーズ・・・サンプル請求

開発ストーリーページのCV率が高い結果に

コンバージョン全体(資料請求とサンプル請求の合計)の結果はこちら

概要ページ・・・2.7%
特長ページ・・・2.0%
使用方法ページ・・・1.3%
開発ストーリーページ・・・3.6%

コンバージョン別に見ると、

  • 資料請求のコンバージョン率が最も高かったのは、特長ページ

  • サンプル請求のコンバージョン率が最も高かったのは、開発ストーリーページ

考察とまとめ

開発ストーリーページは、比較検討する場面で企業や商品を信頼して良いかを確認するために閲覧されていると推察できました。

また、開発ストーリーページの閲覧数は多くありませんが、プロダクトに興味を持っている見込み顧客が読んでいることがわかりました。

まとめると、開発ストーリーはナーチャリングの場面で活用できそうな所感を持ちました。

※ 上述の実験で触れていないことも記載していますが、公開できないためご容赦ください

ストーリーテリングの推薦図書

  • エルメスの道 (中公文庫 コミック版 た 1-23)
    最高のBtoBマーケティング教本だと勝手に思っています。筆者はエルメスについて興味がなく、ブランド名と高価なブランドというイメージしかありませんでした。しかし、この「エルメスの道」という社史マンガを読んで、一気にエルメスが好きになりました。
    これが「ストーリーテリング」の効果。ランチ代1回分で買える値段で読めます。

  • ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件
    ブランディングはストーリーなしでは成り立たないということを教えてくれます。世界中の事例も多数掲載。



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読んでいただきありがとうございます。拙い文章で恐縮ですが、日頃の気づきをシェアしていきたいと思っています。 サポートいただけると嬉しいです!